ヘルニアを持っていると損害賠償額が減額されるの?

ヘルニアを持っていると損害賠償額が減額されるの?

損害賠償と素因

運悪く交通事故に遭ってしまい、後遺障害が残った場合、治療費等の他、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料を含めて損害賠償請求することが出来ます。

例えば、もともとヘルニアを持っている人が今回交通事故に遭ったとします。ある交差点に入ったところ、赤信号を無視して来た車が、自分の運転する車の側面に衝突してきて、自分は腰部挫傷という診断を受け、痛みが取れなくなってしまった場合です。被害に遭った方としては、自分には全く過失は無く、損害賠償額が減額されることは無い、と考えることでしょう。

ところがここで、相手の保険会社から、「あなたにはヘルニアの治療歴があるから、損害賠償額を減額します。」と言われることがあるのです。

素因減額とは

相手方保険会社の言い分は、法律的には「素因減額」の主張というものです。

素因減額とは、被害者が事故前から持っている既往症等が損害の発生・拡大に影響を及ぼしたといえる場合、一定程度賠償額が減額される、というもので、判例もこれを認めています(最高裁昭和63年4月21日判決)。

必ず減額されるのか

もともとあったヘルニアの症状ために、被害者である身にも関わらず、相手の交渉に従うまま、減額に応じてしまうほか、手は無いのでしょうか。この事例では、弁護士として、いくつかの争い方を検討することになります。

(1)減額はされないと争う

例えば、被害者の後遺障害等級が14級9号、治療期間が2ヶ月程度のような場合、事故の衝撃等に照らし上記後遺障害が発生することは何らおかしくなく、治療期間も妥当であり、素因減額しなければ損害の公平な分担に反するような事情はない、と争うことが考えられます。

(2)減額率を争う

また、仮に、減額されるとしても、減額率を争うことも考えられます。この場合、類似の裁判例や協力医の見解、医療記録、治療経過等をもとに、減額率を争うことになります。裁判例については、かなりの蓄積がありますので、自分の遭遇した交通事故と類似する判例を探して、主張することとなります。

最後に

以上のように、ヘルニアの既往症があるとしても、損害賠償額が減額されるとは限らず、また、仮に減額が避けられないとしても、減額率を争うことが可能です。これらについては、法的な判断となりますので、問題になった場合には弁護士にご相談下さい。

弁護士 小野暁世史/札幌・石川法律事務所
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小野暁世史Ono Akiyoshi
交通事故 弁護士 北海道エリア
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※記事内に使用している写真は一部資料写真になりますが、イメージ写真です。