死亡事故の被害者によって変化する「逸失利益」3つの事例

人の命はお金には代えられないけど…

よくニュースで被害者が死亡してしまった交通事故のニュースを見聞きします。当然ながら死亡した人を生き返らせることはできず、また人の命はお金に代えることはできませんが、残念ながら最終的には金銭による損害賠償を避けて通ることはできません。

では、被害者が死亡した場合の損害賠償の金額はいくらくらいになるのでしょうか?それは、死亡した人によって異なります。

以下は、実際の裁判で認められた金額です。

例1 30代男性 サラリーマンの場合

平成22年5月(東京地方裁判所)にあった事例になります。結果として総額で約8300万円の損害賠償金が認められました。これは、死亡した本人がもらえる金額で、実際は死亡した人の遺族がその金額を相続することになります。その内訳は、死亡したことに対する慰謝料と逸失利益(生きていたならば得たであろう収入)とその他葬儀費用等です。

このほかに配偶者や子供がいる場合には、上記金額とは別に遺族固有の慰謝料が認められます。その場合、死亡した本人と遺族に対する慰謝料の合計は3000万円前後になることが多いです。

例2 60代後半女性 無職の場合

こちらは、平成23年9月(神戸地方裁判所)の事例になります。過失相殺と損害の有無、程度、当事者の主張などが争点となりました。この案件では、結果的に総額で約3300万円の損害賠償金が認められています。
この場合も内訳は、慰謝料と逸失利益がほとんどで、プラス葬儀費用等でした。

例3 高校生男子の場合

   

平成24年3月(仙台地方裁判所)の事例になります。総額で約7700万円の損害賠償額が認められました。内訳は、死亡した本人の慰謝料2200万円、逸失利益約4300万円、その他葬儀費用等に加え、両親固有に対する慰謝料として合計500万円でした。このように、人が死亡したにもかかわらず損害賠償金が異なるのは、死亡した人の逸失利益が異なることが大きな理由です。

死亡した場合の逸失利益とは、その人が生きていたら生涯得たであろう金額から、必要となる生活費などが差し引かれた金額です。そのため、高齢者の方が死亡してしまった場合には、損害賠償金は若い人に比べて低額になってしまいます。

研修医の男性が死亡した場合に、損害額自体を約1億2600万円と認めた裁判例もあります(実際には、過失相殺されたためもっと低い金額となりました)

まとめ:被害によって「逸失利益」は変化する

これらは、ほんの一例であり、事故の状況や死亡した人の職業や状態(例えば妊婦の場合で増額された事例もあります)、家族構成等によって異なってきます。逸失利益の計算方法もいろいろあります。死亡してしまった人のためにも適切な金額が認められるべきです。

交通事故で親族が死亡してしまった場合、何も考えらず、悲しみの日々を過ごすことが通常かと思います。そんな心情の中、相手方とお金の話をすることは場合によってはさらに心を痛める場合もあります。

遺族の方にはそのようなことがないようお手伝させて頂きたいと思います。

お金をもらっても亡くなった人は帰ってきませんが、亡くなってしまった方のためにも適切な金額の損害賠償をもらうべきだと思います。

親族が交通事故で亡くなってしまったけど何をどうして良いかわからない、相手方からの損害賠償金の提示に納得できない、そんな場合には弁護士にご相談下さい。遺族の方に代わって交渉・裁判等を行います。

弁護士 北澤慎之介/北澤慎之介法律事務所
交通事故の案件に実績多数
北澤慎之介Kitazawa Shinnosuke
交通事故 弁護士 北海道エリア
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